2011年11月20日

陶磁器の修復 カラーフィル

アンティーク陶磁器のコレクターをやっていると
出会いたくなくても出会ってしまうのがお直し品。

ただただ、”これが好き”だけで集め始めたコレクションも数がそろってきて
見る目が肥えてきた頃、お直し品を発見する目も肥えてくる。

完品だと言われて高額で購入し、後生大事にしていたお宝に
あれ、お直しが入ってるのでは?という疑惑がうかび、それが確信に変わった時の
ショックと落胆を経験したことのないコレクターは皆無ではあるまいか。

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好きなコレクションをオリジナルで愛でたいという気持ちが大きければ
”オリジナルではない部分=お直し部分”の存在は、把握しておきたいもの。

下手なお直し品をオリジナルだと信じて疑わない目が利かなくても
幸せなコレクターになるのか、いささか目が利くようなったばかりに、完品には
出会える確率が低くなり、手元のコレクションにさえ直しを見つけて落胆する
喜び少ないコレクターの道を歩むのか・・・・・・・

そこが問題であるがわたしは後者の道を選んでしまった。

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▲ myコレクション

お直し部分は判断できるとある程度の自信もできた頃
関東の大きなアンティークショウ、骨董ジャンボリーに出展していた
お直し屋さんの直した品の出来映えに驚いた。

目で見て修復箇所の判断ができなかったので、
音を確かめたいから叩かせて欲しいと頼み却下された。

猫 じゃあ、自分で直してみて叩いてみればいいじゃん!
と思いつき早々にその工房へ入門。

お直し品を見破るための目利きになるためという動機不純の門下生となる。

カラーフィルという技術で、最小限の直し範囲で陶磁器の修復をする。
http://www.inishie.com/waza/index.html
より詳細
http://www.inishie.com/csv/colourfill.html

蛇の道は蛇、間近で見る出来映えの良いお直しやその工程はその多いに参考になる。
といって、口を開けて見てるだけではコースの単位やアセスメントに支障がでるので
それなりに実技を学んで早数年になった。

師匠(?)は英国で修復を学び大英博物館の収蔵品も手がけたことのあるこの方。
http://www.inishie.com/about/about-sano.html

下記はわたしの直した一例。

【1】割れてしまったものが、安易に糊付けされている状態。
   ずれていたり、変色していたり、欠損部分があったりする。

2011_11_14_修復_1a.jpg

【2】綺麗に洗って、はずす。

2011_11_14_修復_2.jpg

【3】くっつける、隙間をカラーフィルで埋める。
【4】欠損部をつくる。これも硬化に同上の時間がかかる。
   瞬間接着剤とは違い、最低でも2,3日は硬化に時間を要する。

2011_11_14_修復_3.jpg

【5】削ったり、磨いたり、色をのせたりして仕上げる

2011_11_14_修復_4.jpg

ひびラインはやや残ったが、これを消すためにエアブラシ(絵の具吹きつけ)で
広範囲の色を整えることが必要となるが、オリジナルを楽しみたい
私のコレクションとしては、それは御免こうむる。
ひびラインがやや分かろうと、オリジナル部分が多い方が良い。

修復箇所は、どんなに出来が良くても、いずれは変色するものだ。

師匠(講師)の話しでは、大英博物館では○○展などの予定に合わせて
大英博物館お抱え修復師が展示物のメンテナンス(?)をするそうだ。

修復品と分かった上で、それなりの取り扱いをすれば、お直し箇所の
耐久年数も長くなる。
せっかく良い修復が、完品として取り扱われたために、早々に無惨にも
修復箇所を損壊させる事態になるのでは勿体ない。
(良い修復はそれなりに高額・・・・)

陶磁器のお宝を、よく美術館級、ミュージアムクオリティと例えることがあるが
修復を学んでいると陶磁器展などを見に行くと、修復箇所ばかりが目に付く。

美術館の所蔵品は素晴らしい完品のものばかりであるというのは幻想だ。

2011_11_14_コレクション_4.jpg
▲ myコレクション

わたしがコレクションしている陶磁器分野では、出版されているコレクター所蔵品の
写真集でも修復が分かる品もある。

完品としてより高く売りさばきたい悪質な業者が横行するのには頭が痛いが
案外大物コレクターは、修復があっても(修復してでも)稀少品は稀少品として、
その価値を認識しているのだと思う。
(知らなかったら気の毒だが・・・・・)

こういう事も知った上で、手元に置くコレクションの範疇をいまだに自問自答して
いる毎日である。


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posted by noriちゃん at 22:07| 陶磁器の修復 | 更新情報をチェックする